今回取材させてもらったのは海外の古着・雑貨やドメスティックブランド、オリジナルアイテムなどを扱うショップ"Sunbath"のオーナー、小田島勉さん。長年にわたり、さまざまな視点・立場で米国カルチャーの魅力を日本国内に発信し続けてきた小田島さんから見たTIMEXの魅力にせまる。



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―TIMEXとの出会い

「20歳前後の頃ですかね。兄の持っていたIRONMAN®を

譲ってもらったのが人生で初めてのTIMEXでした」




「母の影響もあって、幼少期から当時の現行品のリーバイス 501やナンバリングの入ったTシャツなどを着ていたことと、中学・高校生時代からサーフィンやBMXにハマっていたので、物心がついた時には自然とアメリカンカルチャーがそばにあったというか、かなり早い段階で明確にアメリカンプロダクトが好きという意識はあったんです。

で、僕がアパレル業界に入ったぐらいの頃に、ある日兄がTIMEXのIRONMANを買ってきまして。初見でいかにもアメリカらしい配色とメカメカしいそのデザインに感銘を受けた僕は思わず兄にその場で『くれ』と(笑) そしたら、後日ほんとうに兄がそのIRONMANを僕にくれたんです。それが今でも大切に使っているこれです。

改めてこうして見ていても"いま"の感覚で全力でカッコイイと思えるし、20年以上の時が経ったいまも普通に使えているってすごいですよね。これは兄からもらった想い出の時計でもあるし、TIMEXが好きになったきっかけの時計でもあるので、絶対に手放せないですね」



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※小田島さんが初めて手にした'90年初頭にリリースされたモデルIRONMAN



―TIMEXを身に着ける時

「その質問に困るぐらい、高頻度で身に着けていますね(笑)」



「TIMEXの存在を知った10代の頃はセレクトショップのスタッフがよく身に着けているイメージがあって、当時からファッションとの親和性が高いとは思っていましたが、その感覚はこの20年以上ずっと変わらないんですよね。3針のアナログタイプのモデルはもちろんのこと、デジタル時計のIRONMANのようなモデルですらもオックスフォードシャツにチノパンを合わせたようなオーソドックスなカジュアルスタイルにも合うし、もちろんアウトドアを含むスポーティなスタイリングにも合う。

僕は友人や知り合いからTIMEXグッズをプレゼントされるぐらい高頻度でTIMEXを身に着けていますが、どんな時に身に着けるのかは逆に考えたことがないですね(笑) ただ、メンズファッションに対する許容力の広さが素晴らしいと思って昔からTIMEXを選んでいることは事実ですね」



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※小田島さんのコレクションの一部。左から2000年代中盤にリリースされたIRONMAN、20代の頃に母からプレゼントされたEXPEDITION®、2000年に当時の同僚からプレゼントされたラジオ機能付き置き時計



―TIMEXの魅力とは?

「誰にでも手に入れられるけど妥協感がない。

そこがTIMEXにしかない魅力だと思います」



「TIMEXって"時計"というよりも"雑貨"のような、良い意味でのワクワクするおもちゃ感があると思うんです。でも、決して子供っぽいわけではなく、カルチャー的なバックボーンもしっかりしているし、むしろオトナにも合う。そのあたりがとても不思議な存在ですよね。誰にでも買える低価格なのに、米国大統領が身に着けるほどのバリューもあるわけですから。そういう意味では、少年からオトナまでずっと楽しんで身に着けていられる普遍性のようなものが魅力なのかもしれないですね。

実際、僕も20年以上ずっとTIMEXとともに時間を過ごしているわけですが、いまだにそのデザインに対して懐かしさよりも新鮮さの方が印象として勝つというか、飽きることなく身に着けているわけですしね。あと、個人的にはオーバー過ぎないスペックと大きすぎないケースサイズも好きなポイントですかね。毎日使っていても機能的にも物理的にも持て余すことがないから、結果的にずっと使っていられるんだと思います」



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―いま選ぶTIMEX

「定番モデルにちょうど良い個性が足し算された

Q TIMEXのブラックモデルですね」



昔からヒトとはちょっと違ったプロダクトが好きなので、無垢のステンレスカラーの印象が強いQ TIMEXのブラックカラーが今の気分ですかね。僕が持っているTIMEXはすべてデジタル時計なので、デイト付きのシンプルな3針モデルもいいなと。ラグがなくてケースからそのままベルトが出ていたり、そのベルトも近年中々みることのないメッシュベルトを採用していたり、ベゼルサイドにもブラックのアルマイト塗装がされていたり、オーセンティックな形ではあるものの、よく見ると細かな個性が宿っている感じも僕の好きなテイストなんですよね。

世の中の潮流としては40mm径以上のケースサイズがメインストリームをいまだに占めてますが、個人的にはこの38mm径ぐらいのサイズがアメリカンカジュアルスタイルのファッションには合うと思っています」



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―最後に

アパレル業界に長く携わり、さまざまなプロダクトを見てきた目利きが使い続けるTIMEX。

その理由は聞けば聞くほどジーンズやTシャツのそれに近い。つまり、単に文化的・歴史的なバックボーンが積みあがっているだけでなく、人々の生活の中で深い意味での万能性を発揮できることがプロダクトを定番たらしめる重要なポイントであるということだ。いつの日か、ジーンズやTシャツと並ぶ定番の比喩としてTIMEXの固有名詞がメンズファッションの世界に轟くことを願う。



Profile

Sunbath オーナー

小田島 勉

1973年生まれ。著名なメーカーやセレクトショップでの経験値をもとに2010年に豊島区南長崎に"Sunbath"をオープン。同ショップでは海外の古着や雑貨、ドメスティックブランドをはじめとし、オリジナルアイテムも展開する。さまざまな紙・WEBメディアに登場する回数も多い業界のご意見番的な存在。

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ディレクション/中島貴大 文/コボ田形 写真/澤田聖司