本企画、第2弾となる今回紹介するのは西野大士さん。ブルックスブラザーズのPRを経て、現在はさまざまなブランドのPRと自身のブランドであるパンツ専業ブランド「NEAT」のデザイナーも務める彼にとって、TIMEXとはどのようなプロダクトなのだろうか?
―TIMEXとの出会い
「ブルックスブラザーズに入社した当時、
僕が買える時計の中で唯一許されていたのがCAMPERだったんです」
「ファッションへの想いが強すぎて小学校の教員をやめてブルックスブラザーズに入社したのが24歳の時だったのですが、最初に店舗スタッフとして配属された大阪の店舗が身だしなみのルールがとても厳しかったんです。ブランド自体が好きで入社したこともあり、それ自体はむしろ楽しんでいたのですが、唯一悩んだのが時計だったんですよね。やはり、ブランドイメージもありますから、それなりの時計を身につけなければならないのですが、24歳の僕にはなかなかハイブランドの時計は手を出せないわけですよ(笑) ただ、そんな中、僕が買える価格帯の時計で唯一ブルックスブラザーズで身に着けることを許されていたのがTIMEXのCAMPERだったんです。『CAMPERはアリなんだ』と、24歳の僕にとっては目から鱗というか。もともとブランド自体は知っていたのですが、そこで改めてブルックスブラザーズ同様に米国でメンズカルチャーと共に歴史を紡いできたTIMEXの魅力に気づかされたんです。あれから10年以上の時が経ち、当時は手が届かなかったブランドの時計も身に着けられるようになりましたが、いまだにいくつかのTIMEXを愛用しているのはあの時にその価値に気付けたからだと思います」
―TIMEXを身に着ける時
「スタイリングに色やアソビを取り入れたいときですかね」
「TIMEXのラインナップの中でいうと、個人的には派手なカラーのデジタル時計が好きなんです。ファッションを楽しむ上で、オーセンティックなテイストのアナログ時計ってすごく合わせやすいと思うのですが、良くも悪くも隙がなくなってキマり過ぎちゃうなと。だから、スタイリングがまとまり過ぎてしまう時にアソビを取り入れるために、それらを選ぶようにしているんです。カラーや機能だけでいったら、そういう役回りの時計は世界中に多く存在しますが、米国の歴史ある老舗ブランドのプロダクトで遊べるというところが個人的に気に入っているポイントですね。このレイカーズカラーのIRONMANとピンクのIRONMAN 10-LAPは、この数年特に気に入って高頻度で使い続けているのですが、2種の時刻表示など最低限の便利な機能が備わっているので道具としても非常に優れているんです。多機能すぎると逆に使いこなせないですしね。海外出張に行く際は絶対にこのどちらかを持っていくようにしています」
TIMEXの魅力とは?
「501XX、リバースウィーブ、オールスターと並ぶ
"究極の定番"であることです」
「僕も自身のブランドを持っているからわかるのですが、プロダクトをデザインする仕事って、続けているうちに何かしらの足し算をしたくなると思うんです。でもTIMEXの場合は、各モデルのデザインが決まったらずっとそのスタイルを貫き通している。しかも、決してひとつの決まったデザインにおごることなく、各年代やジャンルでアナログ・デジタル含め様々な"定番"をいくつも生み出している。そこが一番の魅力かと思います。CAMPER、SAFARI、IRONMANなど、モデル名だけでパッとカタチのイメージが湧くってシンプルにすごいですよね。あともう一点、大前提が"道具"として設計されているところも素敵かと。実用的な機能を優先し装飾的なモノをなるべく省いているからこそ、結果として使い勝手も良いしコスパも高い。米国の歴史あるブランドの時計を気軽に複数手に入れられるのもポイントですね」
―いま選ぶTIMEX
「"Atlantis NUPTSE"ですね。
当時モノを新品で手に入れられるような感覚です」
「パッと見たときに、まずこれが新作であるということに驚きましたね(笑) もちろん、'90年代のモデルの"復刻"なので当然なのかもしれないですが、ノスタルジックなデザインをそのままに、色合いがなんともいい感じだなと。そして、実際に身に着けてみればわかると思うのですが、このモデル、ケースの径も小さめだし結構薄いんです。最近のアウトドア仕様の時計って、巨大なモデルも多い中でこのサイズ感は良いですよね。これならカフス付きのシャツに合わせても袖周りが干渉しないし、洋服との相性も良いと思います。米国のオフィス街でよく見かける、スーツ姿にバックパック背負ってスニーカー履いて、っていう妙にスタイリッシュなビジネスマンが持ってそうな感じが好きです」
―最後に
アクセサリーはしないが時計は絶対に身に着けるという西野さん。「時計は道具。道具としての必然性こそが、時計を楽しむ僕なりのコツなんです。アウトドアギアを使いたいからアウトドアを楽しむ、みたいな感覚に近いですかね」。そう語るとおり、表層的な見た目だけでなく、歴史的背景やスペック、デザインの意味など、すべて踏まえた上でプロダクトに向き合う西野さん。そしてそんな彼も選ぶTIMEX。モノを選ぶ価値や楽しさの隣に寄り添うTIMEXの魅力を改めて感じさせられたインタビューであった。
Profile
NEAT代表
西野大士
1983年生まれ。ブルックスブラザーズのPRを経て、2017年にプレスオフィス「NISHINOYA」を設立。国内外20以上のブランドのPRを担当しつつ、自身のパンツ専業ブランド「NEAT」のデザイナーとしても手腕を振るう。nishinoya-pr.com
ディレクション/中島貴大 文/コボ田形 写真/澤田聖司